今村翔吾のおすすめは、初めてなら直木賞を受賞した『塞王の楯』、戦国ものを深掘りするなら『じんかん』と『八本目の槍』、江戸ものをシリーズで追うなら『羽州ぼろ鳶組』の1作目『火喰鳥』から刊行順に読むのが目安です。 今村翔吾は2017年に文庫書き下ろしの『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』でデビューし、2018年の『童の神』で角川春樹小説賞、2020年に『八本目の槍』で吉川英治文学新人賞と『じんかん』で山田風太郎賞、そして2021年刊の『塞王の楯』で第166回直木賞を受賞した歴史・時代小説の書き手です。単発の長編は戦国から平安・鎌倉・南北朝・明治まで時代が幅広く、文庫のシリーズは江戸の火消しや裏稼業を描く娯楽性の高い作風が持ち味。この記事では「初めてなら」「戦国もの」「江戸もの」「シリーズで追う」の4つの切り口で代表作を整理し、各作の刊行年・出版社と2024〜2026年の新刊までをネタバレなしでまとめました。
結論:目的別にこの1冊から
- 初めてで、代表作から入りたい → 『塞王の楯』(2021年・集英社)。石垣職人と鉄砲職人の対決を描く直木賞受賞作で、戦国ものの入口として最適
- 戦国ものをじっくり読みたい → 『じんかん』(2020年・講談社)。松永久秀を題材にした山田風太郎賞受賞作。短めがよければ連作短編の『八本目の槍』(2019年・新潮社)
- 江戸ものを気軽に楽しみたい → 『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』(2017年・祥伝社文庫)。火消しを描くデビュー作で、文庫1冊から始められる
- シリーズを長く追いたい → 〈羽州ぼろ鳶組〉か〈くらまし屋稼業〉(2018年〜・ハルキ文庫)。どちらも刊行順に読むのが基本で、2026年も新刊が続いている
【早見表】今村翔吾の代表作と刊行順
| 書名 | 刊行年 | 出版社 | 時代・形態 | こんな時に |
|---|---|---|---|---|
| 火喰鳥 羽州ぼろ鳶組 | 2017年 | 祥伝社文庫 | 江戸・シリーズ1作目 | 文庫1冊で気軽に始めたい |
| 童の神 | 2018年 | 角川春樹事務所 | 平安・単発長編 | 戦国以外の時代も読みたい |
| くらまし屋稼業 | 2018年 | ハルキ文庫 | 江戸・シリーズ1作目 | 裏稼業ものが好き |
| 八本目の槍 | 2019年 | 新潮社 | 戦国・連作短編 | 短めの章で戦国を読みたい |
| じんかん | 2020年 | 講談社 | 戦国・単発長編 | 悪名高い武将の別の顔を知りたい |
| 塞王の楯 | 2021年 | 集英社 | 戦国・単発長編 | 初めての1冊に |
| イクサガミ 天 | 2022年 | 講談社文庫 | 明治・シリーズ1作目 | バトル色の強い娯楽作を読みたい |
| 海を破る者 | 2024年 | 文藝春秋 | 鎌倉・単発長編 | 元寇という大テーマを読みたい |
| 人よ、花よ、 | 2025年 | 朝日新聞出版 | 南北朝・単発長編(上下) | 新しめの大作を読みたい |
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選び方のポイント
初めてなら「直木賞作」か「連作短編」から
今村翔吾の作品は、どれも登場人物の目的がはっきりしていて読みやすいのが特徴ですが、最初の1冊は代表作の『塞王の楯』が無難です。戦国時代の職人という視点から合戦を描く構成で、歴史の知識がなくても物語に入りやすく、受賞作としての完成度も高いと評されることが多い作品です。長編に抵抗があるなら、章ごとに主人公が変わる連作短編の『八本目の槍』のほうが短い区切りで読み進められます。どちらも単発で完結するので、続きを気にせず読めるのが利点です。
戦国ものは「視点のユニークさ」で選ぶ
今村作品の戦国ものは、天下人そのものより、その周辺にいた人物を主役に据えるのが特徴です。『塞王の楯』は城の石垣を積む職人集団、『八本目の槍』は秀吉子飼いの武将たち、『じんかん』は悪人として語られがちな松永久秀と、それぞれ切り口が違います。戦国の有名な出来事を別の角度から眺めたい人は、まず興味のある題材から選ぶと外れにくいでしょう。歴史小説の全般的な選び方は歴史小説の入門ガイドに整理しているので、戦国以外の時代も含めて比べたい人はそちらも参考にしてください。
江戸ものは「文庫シリーズ」が入口
江戸を舞台にした作品は、〈羽州ぼろ鳶組〉と〈くらまし屋稼業〉の2つの文庫シリーズが中心です。前者は火消し、後者は人を「消す」裏稼業という題材の違いがあり、どちらも1冊ごとに事件が区切られつつ、巻をまたいで人物関係が深まっていく構成です。文庫書き下ろしなので価格が抑えめで、電子版でもまとめて追いやすいのが利点。まずは各シリーズの1作目を読み、相性が合えば刊行順に進むのが基本です。
シリーズで追うなら「刊行順」が基本
今村翔吾のシリーズは、〈羽州ぼろ鳶組〉〈くらまし屋稼業〉〈イクサガミ〉のいずれも刊行順に読むのが安心です。特に〈イクサガミ〉は2022年の『天』から2025年の『神』まで全4巻で物語が一本につながっているため、途中から読むと前提がわからなくなります。江戸ものの2シリーズも、巻数が多いぶん人物の変化を順に追ったほうが楽しめます。2026年も〈羽州ぼろ鳶組〉〈くらまし屋稼業〉の新刊が続いているので、追いかける楽しみが長く続くシリーズです。
読む前に知っておきたいこと
- Kindle版の有無や読み放題の対象は時期によって変わるため、購入前にAmazonの商品ページで確認してください。文庫シリーズは電子版で揃えやすい傾向がありますが、対象かどうかは断定できません
- 『塞王の楯』は2021年の単行本刊行後、集英社文庫で上下巻に分かれて出ています。電子版も単行本と文庫で別商品になることがあるので、購入時にどちらか確認しましょう
- 『人よ、花よ、』は上下巻、〈イクサガミ〉は全4巻、〈羽州ぼろ鳶組〉〈くらまし屋稼業〉は長期シリーズです。紙で揃えると場所を取るので、長く追うシリーズほど電子版と相性がよいです
- 歴史の知識は必須ではありません。登場人物の目的が明確で、戦や職人の仕事を物語として追えるので、歴史小説に慣れていない人でも入りやすいと評されることが多い作家です
- 受賞歴は本記事では確認できた範囲のみを記載しています。角川春樹小説賞(『童の神』)、吉川英治文学新人賞(『八本目の槍』)、山田風太郎賞(『じんかん』)、第166回直木賞(『塞王の楯』)です
タイプ別おすすめ
初めてなら:直木賞作と戦国の単発長編
最初の1冊は、単発で完結する戦国ものから。長編が得意なら『塞王の楯』、短い区切りで読みたいなら『八本目の槍』が目安です。
戦国以外も読みたいなら:時代を越える単発長編
今村作品は戦国に限らず、平安・鎌倉・南北朝と時代の幅が広いのが魅力です。2024〜2025年の新刊も、この枠に入ります。
シリーズで追うなら:江戸ものの文庫と明治の〈イクサガミ〉
文庫で続くシリーズは、まず1作目を読んで相性を確かめるのがおすすめ。どのシリーズも刊行順に読むのが基本です。
シーン別の選び方
- 通勤時間に少しずつ読みたい:章ごとに主人公が変わる『八本目の槍』か、1冊ごとに事件が区切られる〈羽州ぼろ鳶組〉〈くらまし屋稼業〉。区切りがよく、途中で止めやすい
- 週末にまとまった時間で一気読みしたい:『塞王の楯』『じんかん』などの単発長編。先が気になる展開が続くので、時間のあるときに腰を据えて読むのに向く
- 歴史の授業で習った出来事を小説で読みたい:元寇の『海を破る者』、南北朝の『人よ、花よ、』、賤ヶ岳の『八本目の槍』。有名な事件を別の視点から追える
- 映像作品の原作から入りたい:明治を舞台にした〈イクサガミ〉。2022年の『天』から2025年の『神』で完結した全4巻で、娯楽性の高いバトルものが好きな人向け
- 司馬遼太郎など王道の歴史小説が好き:『塞王の楯』『じんかん』から入ると、職人や悪役といった新しい視点の面白さがわかりやすい。王道側は司馬遼太郎の読む順番にまとめています
👍 メリット
- 単発長編はどれも1冊で完結し、どこからでも読み始められる
- 戦国だけでなく平安・鎌倉・南北朝・明治と時代の幅が広い
- 文庫シリーズは価格が抑えめで、電子版でもまとめて追いやすい
- 登場人物の目的が明確で、歴史の知識がなくても物語に入りやすい
👎 デメリット
- シリーズは巻数が多く、全部追うと時間も費用もかかる
- 『塞王の楯』『人よ、花よ、』など上下巻や長めの作品が多い
- 〈イクサガミ〉は刊行順に読まないと前提がわからなくなる
- 合戦や火災の場面が多く、静かな人間ドラマを求める人には合わないこともある
まとめ
- 初めてなら**『塞王の楯』、短めがよければ『八本目の槍』**から
- 戦国ものを深掘りするなら**『じんかん』、戦国以外なら『童の神』『海を破る者』『人よ、花よ、』**
- 江戸ものは**〈羽州ぼろ鳶組〉〈くらまし屋稼業〉**の1作目から刊行順に
- Kindle版の有無や読み放題の対象は購入前にAmazonの商品ページで確認する
歴史小説をこれから読み始める人は歴史小説の入門ガイドで時代別の入口を、王道の大作を読みたい人は司馬遼太郎の読む順番も参考にしてください。
よくある質問
- 今村翔吾を初めて読むなら、どの1冊がいい?
- 代表作で直木賞受賞作でもある『塞王の楯』(2021年・集英社)が目安です。戦国時代の石垣職人と鉄砲職人という視点から合戦を描く構成で、歴史の知識がなくても物語に入りやすいと評されることが多い作品です。長編に抵抗があるなら、章ごとに主人公が変わる連作短編の『八本目の槍』(2019年・新潮社)のほうが短い区切りで読み進められます。どちらも単発で完結するので、続きを気にせず読めます。
- 『塞王の楯』は直木賞をいつ受賞した?
- 『塞王の楯』は2021年に集英社から刊行され、第166回直木賞を受賞しました。選考会は2022年1月で、同時受賞は米澤穂信の『黒牢城』です。今村翔吾にとっては3回目の候補入りでの受賞で、それ以前に『童の神』『じんかん』が直木賞候補になっています。本記事の受賞歴は、確認できた範囲のみを記載しています。
- 〈羽州ぼろ鳶組〉と〈くらまし屋稼業〉はどちらから読めばいい?
- 題材で選ぶのが一番です。〈羽州ぼろ鳶組〉は江戸の火消しを描くシリーズで、火災現場の迫力と仲間が集まっていく展開が持ち味。デビュー作『火喰鳥』(2017年・祥伝社文庫)が1作目です。〈くらまし屋稼業〉は依頼人を姿をくらまさせる裏稼業を描くシリーズで、1作目は2018年にハルキ文庫から出ています。どちらも刊行順に読むのが基本で、2026年も新刊が続いています。
- 戦国もの以外の作品もある?
- あります。平安時代を舞台にした『童の神』(2018年・角川春樹事務所)、元寇を描く『海を破る者』(2024年・文藝春秋)、南北朝の楠木正行を主人公にした『人よ、花よ、』(2025年・朝日新聞出版)など、時代の幅は広いです。明治を舞台にした〈イクサガミ〉は講談社文庫の全4巻で、2022年の『天』から2025年の『神』で完結しています。戦国以外から入っても問題なく楽しめます。
- 2024年から2026年の新刊は?
- 単行本では2024年に『海を破る者』(文藝春秋)、2025年に『人よ、花よ、』(上下巻・朝日新聞出版)が出ています。2025年には〈イクサガミ〉の完結巻『神』が講談社文庫から刊行されました。文庫シリーズの〈羽州ぼろ鳶組〉〈くらまし屋稼業〉は2026年も新刊が続いています。このほか2026年1月には作家業について語るSB新書『作家で食っていく方法』も出ています。最新の刊行情報は出版社の公式サイトで確認してください。
- 今村翔吾の作品はKindleで読める?
- 多くの作品に電子版がありますが、Kindle版の有無や読み放題の対象は時期によって変わるため、購入前にAmazonの商品ページで確認してください。『塞王の楯』のように単行本と文庫(上下巻)で別商品になっている作品もあるので、どちらを買うか確認してから購入するのが安心です。長期シリーズは電子版で揃えると場所を取らず、続きをすぐ読めるのが利点です。