小学生の本選びは「学年」より「今の読む力と好きなもの」に合わせ、低学年は挿絵の多い冒険もの、中学年は1冊で完結する短めの物語やシリーズ、高学年は登場人物の気持ちを深く追える長編へと少しずつ広げていくのが近道です。 同じ学年でも、すらすら長編を読む子もいれば、文字の多いページで手が止まる子もいます。この記事では、何十年も読み継がれてきた定番を中心に、低学年・中学年・高学年の3グループに分けて8冊を紹介します。あわせて、読書が習慣になる家庭での工夫や、紙の本と電子書籍のどちらが子どもに向くかという悩みにも、断定せずに判断の材料を整理しました。お子さんの様子を思い浮かべながら、「最初の1冊」を探してみてください。
結論:学年と様子で選ぶならこの本
- 低学年・はじめて1人で長めの本を読む → 『エルマーのぼうけん』。挿絵が多く、知恵で切り抜ける冒険にわくわくしやすい
- 低学年〜中学年・本より遊びが好き → 『かいけつゾロリのドラゴンたいじ』。ページをめくるたびに絵とギャグがあり、読書の入口になりやすい
- 中学年・1話ずつ気軽に読みたい → 『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』。短い話の連作で、少しずつ読んでも区切りがつく
- 高学年・じっくり心に残る長編を読みたい → 『かがみの孤城』。人間関係に悩む時期の気持ちに寄り添う物語として支持されている
【早見表】小学生におすすめの定番児童書8冊
| 書名 | 著者 | 刊行年 | ジャンル | こんな時に |
|---|---|---|---|---|
| エルマーのぼうけん | ルース・スタイルス・ガネット(渡辺茂男 訳) | 1963(日本語版) | 冒険・ファンタジー | 低学年で初めての「読み物」に |
| かいけつゾロリのドラゴンたいじ | 原ゆたか | 1987 | ユーモア・冒険 | 本が苦手、絵が多い本から始めたい |
| ルドルフとイッパイアッテナ | 斉藤洋 | 1987 | 動物・友情 | 中学年で少し長い物語に挑戦したい |
| ふしぎ駄菓子屋 銭天堂 | 廣嶋玲子 | 2013 | ファンタジー・連作短編 | 短い話を少しずつ読みたい |
| それいけズッコケ三人組 | 那須正幹 | 1978 | 学校・ユーモア | 友だちとの日常の話が好き |
| ハリー・ポッターと賢者の石 | J・K・ローリング(松岡佑子 訳) | 1999(日本語版) | ファンタジー | 高学年で長編シリーズにハマりたい |
| 西の魔女が死んだ | 梨木香歩 | 1994 | 成長・家族 | 静かな物語で気持ちを整えたい |
| かがみの孤城 | 辻村深月 | 2017 | 青春・ファンタジー | 読み応えのある長編に挑戦したい |
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選び方のポイント
学年は目安。「今すらすら読めるか」と挿絵の量で段階をつける
本の対象学年は出版社や図書館が示す目安で、子どもによって合う時期は大きく前後します。選ぶときは、書店や図書館で最初の数ページを一緒に開き、つかえずに読めるか、挿絵を見て興味を示すかを確かめるのが確実です。背伸びした本を無理に渡すより、少し易しいと感じるくらいの本で「最後まで読めた」体験を重ねるほうが、次の本へ手が伸びやすくなります。
段階のつけ方の目安は、低学年なら見開きごとに挿絵があり文字が大きく行間の広い本、中学年なら章ごとに区切りのある物語や短編がいくつも入った本、高学年なら挿絵の少ない厚めの長編です。いきなり分厚い本へ進むより、挿絵の量と長さを少しずつ変えていくと、読む体力が自然に育ちます。高学年でも、疲れている時期は低学年向けの本を読み返すのも悪いことではありません。
子どもの「好き」とシリーズの力を入口にする
動物が好きなら動物が主人公の物語、笑うのが好きならユーモアのあるシリーズ、不思議な話が好きならファンタジーというように、普段の興味から選ぶと最初の数ページで引き込まれやすくなります。親が読ませたい名作と子どもが読みたい本は一致しないことも多いので、まずは子どもが選んだ本を尊重し、その合間に定番の名作をそっと置いておく、くらいの距離感が続けやすいでしょう。
ゾロリや銭天堂、ハリー・ポッターのように続巻がある作品は、1冊目を気に入ると次の巻へ自分から手を伸ばしやすいのが強みです。まずは1巻だけ用意し、気に入ったら続きを図書館で借りたり買い足したりすると、合わなかったときの無駄も少なく済みます。
読書習慣につなげる「読ませ方」もセットで考える
小学生の読書習慣は、「たくさん読ませる」よりも「本が生活の中に自然にある」状態をつくることで育ちやすいと言われます。家庭で取り入れやすいのは次のような工夫です。
- 毎日少しの読む時間を決める:寝る前の10分や朝食後の数分など、短くても同じタイミングで本を開くと、歯みがきのように生活の一部になっていきます。冊数やページ数のノルマは負担になりやすいので、「時間だけ決めて、何を読んでもいい」くらいのゆるいルールが続けやすい傾向です。
- 読み聞かせは高学年まで続けてもいい:自分では手に取らない本に出会えたり、少し難しい言葉が耳から入ったりします。途中まで読み聞かせて「続きは自分で」と渡すと、ひとり読みへの橋渡しにもなります。
- 感想を聞き出すより、親も読んで話す:感想を求めすぎると本が宿題のように感じられがちです。親も同じ本を読んで好きな場面の話をするほうが、子どもも気軽に話しやすくなります。家族が本を読む姿を見せること自体が、読書のきっかけになることも多いものです。
- 図書館と書店を「遊びに行く場所」にする:月に1〜2回図書館へ行き、子どもが自分で選んだ本を借りる習慣は、好きなジャンルを見つける近道です。何度も読み返したい本だけを買って手元に置く、という使い分けもできます。
紙の本か電子書籍かは、家庭と本の種類に合わせて選ぶ
「子どもには紙の本のほうがいい」と言われることもありますが、どちらが正解というものではなく、家庭の環境や子どもの性格、読む本の種類によって向き不向きが変わります。
紙の本は、挿絵の多い低学年向けの本で絵と文字を一度に見渡しやすく、親子で並んで読むのにも向いています。ページをめくる手応えや、本棚に並んだ背表紙を見て「次はこれを読もう」と思えるのも紙ならではで、画面を見る時間を増やしたくない家庭にとっても選びやすい選択肢です。一方で、置き場所や持ち運びの負担はあります。
電子書籍は、文字サイズを大きくしたり行間を調整したりできるため、小さな文字が読みづらい子には助けになることがあります。旅行や通院の待ち時間など何冊も持ち運びたい場面や、ハマったシリーズの続きをすぐ読みたいときにも便利です。使う場合は、読む端末、利用時間、購入するときの確認方法を家族で話し合っておくとトラブルを防ぎやすくなります。どちらか一方に決めるより、「挿絵の多い本は紙、長いシリーズは電子」のように場面で使い分けると無理なく続けられるでしょう。
読む前に知っておきたいこと
- Kindle版の有無や読み放題の対象は時期によって変わるため、購入前にAmazonの商品ページで確認してください。 児童書は紙の本でしか出ていない作品や、版によって電子版の扱いが異なる作品もあります。
- 紙の本と電子書籍は、どちらが子どもに良いと決めつけなくて大丈夫です。 紙はページをめくる感覚や挿絵の見やすさ、親子で一緒に読みやすい点が、電子は文字サイズを大きくできる点や持ち運びのしやすさが利点です。家庭の環境や子どもの使い方に合わせて選びましょう。
- 電子書籍を使うなら、利用時間や購入の決まりを家族で話し合っておくと安心です。 タブレットやスマホで読む場合は、他のアプリに気を取られにくい設定や、購入に保護者の確認が必要な設定を整えておくと使いやすくなります。
- シリーズものは基本的に1巻から読むのがおすすめです。 銭天堂やゾロリのように1話ごとに楽しめる作品もありますが、ハリー・ポッターのように話が続いていく作品は、刊行順に読むと人物の関係がわかりやすくなります。
- 児童書には単行本・文庫・新装版など複数の版がある作品も多いです。 ふりがなの有無や挿絵、文字の大きさが版によって異なることがあるので、子どもの読む力に合う版を選びましょう。
タイプ別おすすめ
低学年向け:挿絵が多く、読み聞かせからひとり読みへ
絵本から読み物へ移る時期は、挿絵の多さと話のテンポが大切です。最初は親が読み聞かせ、慣れてきたら交代で読むのも続けやすい方法です。
中学年向け:少し長い物語や短編の連作に挑戦
読む力がついてくる中学年は、章立てのある物語や、1話ずつ区切れる連作で「長い本を読み切る」経験を積む時期です。
高学年向け:読み応えのある長編で世界を広げる
高学年は、登場人物の心の動きを追いながら長い物語を読み通せるようになる時期です。中学生になっても読み返したくなる本を選ぶのもよいでしょう。
シーン別の選び方
- 入学前後で、絵本から読み物へ移りたい:『エルマーのぼうけん』のように挿絵の多い読み物を、最初は読み聞かせから始めるのがおすすめです。
- 本を読みたがらない・すぐ飽きてしまう:『かいけつゾロリ』シリーズのように絵とユーモアが多い本で、「最後まで読めた」体験を優先しましょう。
- 夏休みや冬休みにじっくり1冊読みたい:中学年なら『ルドルフとイッパイアッテナ』、高学年なら『ハリー・ポッターと賢者の石』のような長編が向いています。
- 読書感想文の本を選びたい:主人公の気持ちの変化を追いやすい『西の魔女が死んだ』や『かがみの孤城』は、考えたことを書きやすい物語です。
- 習い事の合間など細切れの時間に読みたい:1話ずつ区切りのつく『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』や『ズッコケ三人組』シリーズが向いています。
👍 メリット
- 長く読み継がれる定番は、図書館や学校でも見つけやすい
- 学年別に段階をつけると、無理なく読む力が育ちやすい
- シリーズものは続きが気になり、自分から本を手に取るきっかけになる
- 親子で同じ本を読むと、会話や共通の話題が増える
👎 デメリット
- 対象学年は目安で、子どもによって合う時期は大きく異なる
- 親が読ませたい本と子どもが読みたい本は一致しないことが多い
- 電子書籍は利用時間や購入のルールを家庭で決めておく必要がある
- 長編シリーズは途中で飽きることもあり、1巻ずつ様子を見るのが無難
まとめ
- 学年は目安とし、今すらすら読めるか・興味を持てるかを基準に選ぶ
- 低学年は挿絵の多い冒険もの、中学年は章立てや連作の物語、高学年は心の動きを追える長編へと段階的に広げる
- 読書習慣は毎日の短い読む時間・読み聞かせ・図書館通いで、生活の中に本がある状態をつくると育ちやすい
- 紙と電子はどちらかに決めつけず、家庭の環境や本の種類で使い分ける。電子版の有無は購入前に商品ページで確認する
紙の本と電子書籍の違いをもっと詳しく比べたい方はKindleと紙の本どっちがいい?、子ども用に読書専用の端末を検討しているならKindleはどれがいい?も参考にしてください。親自身が読書を習慣にしたいときは読書が苦手な大人におすすめの本から始めるのもおすすめです。
よくある質問
- 小学1年生に最初に渡す本は何がいい?
- 絵本から読み物へ移る時期なので、見開きごとに挿絵があり、文字が大きめの本が向いています。『エルマーのぼうけん』は冒険のわくわく感があり、最初は親が読み聞かせ、慣れてきたら交代で読むといった進め方がしやすい定番です。ひとりで読ませることにこだわらず、まずは物語の楽しさを感じてもらうことを優先すると、次の本へ自然につながりやすくなります。
- 漫画っぽい本ばかり読んでいても大丈夫?
- 絵の多い本は、文字を読むことへの抵抗を減らし、読書を楽しいものと感じるきっかけになります。『かいけつゾロリ』のように長く愛されてきたシリーズは、まさに読書の入口として選ばれてきた作品です。無理に取り上げるより、好きな本を尊重しながら、似た雰囲気で少し文字の多い本をそばに置いておくと、子どもが自分のペースで次の段階へ進みやすくなります。
- 高学年で読書感想文を書くならどの本がいい?
- 主人公の気持ちの変化がはっきり描かれている物語は、考えたことを書きやすい傾向があります。『西の魔女が死んだ』や『かがみの孤城』は、家族や友人との関係、自分の居場所について考えるきっかけになる物語として読まれることが多い作品です。ただ、感想文は子どもが心を動かされた本で書くのがいちばん書きやすいので、本人が選んだ本を尊重するのがおすすめです。
- 子どもには紙の本と電子書籍、どちらがいい?
- どちらが正解ということはなく、家庭の環境や子どもの使い方に合わせて選ぶのがよいでしょう。紙の本は挿絵が見やすく親子で一緒に読みやすい、電子書籍は文字サイズを変えられて持ち運びしやすいといった利点があります。電子書籍を使う場合は、利用時間や購入のルールを家族で決めておくと安心です。挿絵の多い本は紙、長いシリーズは電子のように使い分ける方法もあります。
- 読書習慣がなかなか身につかないときはどうすればいい?
- まずは寝る前の10分など、短くても毎日同じタイミングで本を開く時間をつくるのがおすすめです。冊数やページ数のノルマは負担になりやすいので、時間だけ決めて読む本は子どもに選ばせるとよいでしょう。読み聞かせを続けたり、親も一緒に本を読む姿を見せたりすることも、本を身近に感じるきっかけになります。図書館に定期的に通うのも効果的です。
- ここで紹介した本は電子書籍でも読める?
- 電子版が出ている作品もありますが、児童書は紙の本のみの作品や、版によって電子版の扱いが異なる作品もあります。Kindle版の有無や読み放題の対象は時期によって変わるため、購入前にAmazonの商品ページで最新の情報を確認してください。紙の本で読む場合も、単行本・文庫・新装版などで文字の大きさやふりがなの有無が違うことがあるので、子どもに合う版を選ぶと読みやすくなります。